事業承継に強い西山税理士事務所
Home » ブログ一覧 » 【保存版】企業を売りたい方へ|判断基準やメリット・デメリットを解説

【保存版】企業を売りたい方へ|判断基準やメリット・デメリットを解説

✔当記事はこのような方に向けて書かれています

「会社を売ったほうが良いのだろうか?」

「会社を売るときのメリット・デメリットが知りたい。」

「会社を売るにはどうしたら良いの?」

✔当記事を通じてお伝えすること

  • 企業を売却するメリット
  • 企業を売却する際の注意点
  • 企業を売る方法

当記事では、企業を売るメリットやデメリットはもちろん、企業を本当に売るべきかの判断や売るとしたらどのようにすべきかを丁寧に解説しています

ぜひ最後までご覧ください。

企業を売りたい理由|売却するメリット5選

はじめに、企業を売却するメリットについて解説します。

メリットを確認しておくと、売却する上での判断材料になるからです。

  • 資金が得られる
  • 後継者に悩まなくて済む
  • 保証人から外れる
  • 廃業や倒産を避けられる

資金が得られる

1つ目のメリットは、資金が得られることです。

企業を売却すると、売却価格から投資金額や必要経費を差し引いた金額が、売却益として売り手の手元に残ります。

利益に対しては所得税や法人税がかかりますが、納税後に残った資金は自分の判断で使えます。

例えば、新規事業への投資や老後の資金に活用することが可能です。

まとまった資金が手元にあることは、企業と経営者の双方にとって大きなメリットであると言えます。

後継者に悩まなくて済む

後継者問題に頭を悩ませずに済むこともメリットです。

後継者がいない企業でも、企業売却をすれば第三者に事業承継ができるからです。

事業を引き継ぎたくても後継者が見つからず、今後の対策に悩む経営者は少なくありません。

企業売却によって、経営者のこのような悩みも解決できます。

保証人から外れる

保証人から外れるメリットもあります。

企業売却をすると、経営者個人の保証も買い手の企業に引き継がれるからです。

経営者は、企業名義で融資を受ける際に経営者本人が保証人になることがあります。

企業の資金で借入が返済できない場合は、経営者個人の資産から返済しなければならず、経営者にとっては大きな負担です。

企業売却により保証が外れれば、このような負担もなくなります。

今の業務や責任から解放される

経営者としての責任から解放されることもメリットの1つです。

企業を売却すれば、事業を継続するプレッシャーを感じる必要がなくなります。

経営者はさまざまな業務を行っており、責任ある立場でもあることから、日頃から孤独を感じる場面も多いといえます。

企業を売却すれば、経営者として感じていた責任やプレッシャーも解消できるのです。

廃業や倒産を避けられる

廃業や倒産を避けることもできます。

経営者が引退するタイミングで後継者がいない場合などは、廃業せざるを得ないこともあります。

企業ごと買いたい相手が見つかれば、この状況を回避できるのです。

企業売却によって事業が存続できれば、従業員の生活を守ることにもつながります。

企業を売りたい方が知るべきデメリット3選

次に、企業を売りたい方が知るべきデメリット3選について解説します。

企業売却を検討する際は、デメリットもしっかり確認する必要があるからです。

  • 競業避止義務
  • ロックアップによる制限がある
  • 訴訟のリスクがある

競業避止義務がある

1つ目のデメリットは、競業避止義務があることです。

競業避止義務とは、企業売却後に売却した事業と同業種の事業を行わないという約束です。

これは売り手側の経営者が、買い手側の企業に損失を与えることを回避する目的で設定されます。

今後も現在の事業に継続的に携わっていきたい場合は、売却するかどうかを慎重に判断する必要があります。

ロックアップによる制限がある

ロックアップによる制限にも注意が必要です。

ロックアップとは、企業売却の手続きをした後も、売り手側の経営者が企業に残り、一定期間経営に関わることを指します。

売却する企業の状況に応じて、売り手側の経営者がいたほうが良い場合はこのような制限を設ける可能性が高いといえます。

あらかじめ、ロックアップの条項が設けられる可能性も考慮しておきましょう。

訴訟のリスクがある

訴訟のリスクがあることもデメリットだと言えます。

企業の重要な事実を隠したまま売却してしまうと、後から損害賠償請求や訴訟につながる可能性もあるからです。

手続きをする前に、買い手側は対象企業について念入りに調査を行い、買収に伴うメリット・デメリットをしっかり確認します。

売り手側の経営者はありのままを正直に申告することが求められます。

特に、簿外債務などの買い手側にとってデメリットとなる情報は漏れなく伝えましょう。

会社を売る4つの方法

次に、会社を売る4つの方法について説明します。

複数の売却方法を把握しておけば、自社に最適な方法を選択できるからです。

  • 株式を譲渡する
  • 事業を譲渡する
  • 会社を分割する
  • 株式を交換する

株式を譲渡する

1つ目の方法は株式譲渡です。

経営者が保有する会社の株式を買い手に譲渡し経営権を引き継ぎます。

実際の手続きの流れは、以下の通りです。

  • 株式の譲渡制限の確認
  • 株式譲渡契約の締結
  • 株式譲渡承認の請求
  • 取締役会の開催
  • 株主名簿の書き換え

株式譲渡によって売却益が発生する場合は、所得税と住民税を納める必要があります。

検討する際は税金の負担も含めて判断しましょう。

事業を譲渡する

2つ目の方法は事業譲渡です。

事業譲渡は、会社の事業のうち、全部または一部を買い手側の企業に譲渡します。

事業譲渡契約によって、売却する事業や資産の範囲を指定できるメリットがあります。

具体的な手続きの流れは、以下の通りです。

  • 取締役会の承認
  • 買い手企業との交渉
  • 基本合意書の締結
  • 買い手側のデューデリジェンス(対象企業の調査)
  • 事業譲渡契約書の締結
  • 関係各所への届け出
  • 株主への通知
  • 株主総会での特別決議
  • 保有資産の名義変更・許認可手続き

事業譲渡では、外部に情報が漏れないよう細心の注意を払う必要があります。

また、買い手側が債務を引き継ぐ場合は、債権者に対する真摯な対応が求められます。

会社を分割する

3つ目の方法は会社分割です。

会社分割は、会社の中の1つの事業をまとめて移転します。

既存の会社が承継するパターンと、新設された会社が承継するパターンがあります。

具体的な手順は以下の通りです。

  • 取締役会の承認
  • 契約の締結または計画書の作成
  • 事前開示書類の準備
  • 社員に対する通知
  • 債権者保護手続き
  • 株主総会の特別決議
  • 会社分割の登記

会社分割は税務・財務上の手続きが複雑なため、実施する際は専門的な知識が不可欠です。

M&A仲介業者や税理士などの専門家に相談しながら進めていきましょう。

株式を交換する

4つ目の方法は株式交換です。

株式交換は、会社同士でお互いの株式を持ち合う方法です。

親会社となる会社が子会社となる会社の株式をすべて取得し、その代わりに自社の株式を譲渡します。

具体的な流れは以下の通りです。

  • 取締役会の決議
  • 株式交換契約の締結
  • 事前開示書類の備え付け
  • 株主総会での株式交換契約の承認
  • 反対株主からの株式買取請求
  • 事前開示書類の提出
  • 株券の提出
  • 事後開示書類の備え付けと開示
  • 株式交換無効の対応

株式交換は手続き後も1つの会社として存続でき、財産の移転が不要な一方で、株式取得と株式譲渡益に対して税金がかかります。

あらかじめ目安となる金額を確認しておきましょう。

企業を高く売るための方法

企業を高く売るための方法を見ていきましょう。

やり方や準備次第で価値を高めることができるのです。

  • 売り上げアップ
  • 資産の整理
  • 財務体制を整える
  • 優秀な人材を確保する・育てる

詳しくは以下の記事にて解説しています。

事業価値・企業価値とは?違いや算出方法、高め方までわかりやすく解説

会社を売るための手続き

会社を売るための手続き・手順について見ていきましょう。

会社を売るには、いくつもやるべきことがあります。

  • 計画を立てる
  • 現状の把握
  • 不正がないかを念入りに確認
  • 売却条件を固める
  • 売却先の選定
  • 売却先との交渉と合意
  • デューデリジェンスの実施
  • 契約の締結

詳しくはこちらの記事でご紹介しています。

【わかりやすい】会社を売るメリット・デメリットや手順を解説

企業売却したい経営者が増えている背景とは?

最後に、企業売却したい経営者が増えている背景について解説します。

背景も含めて把握しておくと、今後の方針の決める際に活かせるからです。

  • 後継者が不足している
  • 売却により事業が成長する可能性がある
  • 市場の先行きを不安に感じている

後継者が不足している

まず、後継者が不足していることが挙げられます。

少子化の進行に加え、子供に事業を引き継ぐ意思がなく、別の業種に就職するパターンが増えているからです。

子供に事業を継ぐ意思がなく社内でも適当な人材がいなければ、企業自体を売却するか、廃業するかを選択する必要があります。

事業を存続するためにも、企業売却を検討する経営者が増えているのです。

売却により事業が成長する可能性がある

事業が成長する可能性に期待して売却する場合もあります。

売却し事業を継続できれば、売却先の経営資源を活用してさらなる成長も見込めるからです。

経営者としての立場は手放す必要がありますが、事業の成長に期待した売却を検討する意義は十分にあると言えます。

市場の先行きを不安に感じている

市場の先行きを不安に感じていることも大きな理由の一つです。

近年は新型コロナウイルスや災害など、予期せぬ事態が発生することも多く、経営リスクが高くなったと考える経営者が増えています。

現状のまま経営を続けることをリスクだと判断した経営者が、経営状況が悪化する前に売却を検討しているのです。

まとめ:

当記事の内容をまとめます。

  • 企業の売却は、新しいチャレンジへのスタート
  • 企業を売却する際の条件に気を付けるべき
  • 企業を売る方法はさまざまなので、適した方法を選ぼう