事業承継に強い西山税理士事務所
Home » ブログ一覧 » 【簡単】税効果会計とは?その目的やメリット、作業手順を丁寧に解説

【簡単】税効果会計とは?その目的やメリット、作業手順を丁寧に解説

✔当記事はこのような方に向けて書かれています

「税効果会計って何だろうか?」

「税効果会計はどんなときに必要か知りたい」

「税効果会計のメリット・デメリットとは?」

✔当記事を通じてお伝えすること

  • 税効果会計とは何か
  • 税効果会計を導入する目的
  • 税効果会計を導入するメリット

当記事では、税効果会計を導入する目的だけでなく、実際の作業手順までご理解いただけます

ぜひ最後までご覧ください

税効果会計とは何か?

税効果会計とは企業会計の税金と実際の税金のズレを整える手段です。

そもそもなぜ整えるのかという理由は、会計の中で法人税の捉え方が異なり、不自然なズレが生じてしまうことがあるからです。

具体的には法人税調整額という科目を使い、以下のような計算となります。

  • 未来の税金が減ると予想される時は資産を計上
  • 未来の税金が増えると予想される時は負債を計上

会計上と税務上でどうしても避けられない誤差を整えているのが、税効果会計です。

税効果会計を導入する目的と、メリットとは何か?

こちらでは、以下の2つをお伝えします。

  • 税効果会計の目的
  • 税効果会計のメリット

税効果会計がなぜ導入されるのかを把握しましょう。

税効果会計の目的

税効果会計の目的は、税引前当期純利益と法人税等の費用を調節すること。

なぜ調整の必要があるのかは、損益計算書上の税引前当期純利益と法人税法の課税所得は基本的に同じにならないためです。

差があるままだと、損益計算書上の利益と税金費用にズレが起き、税をマイナスした後の当期純利益が会社の業績を正しく表せません。

税効果会計の目的は、会計上の利益と税務上の所得の確認内容が違うために生じた差を整える手段なのです。

税効果会計のメリット

税効果会計を実施することで、、整合性のある損益計算書を作成でき、正しい当期純利益がわかります

税効果会計をおこわなければ、損益計算書に不調和が出たまま反映されてしまうからです。

実施するだけでそういったズレや違いを改善でき、税引前と税引後の当期純利益に適切に調和します。

税効果会計の主な種類は2つ

税効果会計の種類について見ていきましょう。

以下の2種類が存在します。

  • 資産負債法
  • 繰延法

資産負債法

資産負債法とは、会計上と税務上の資産額・負債額間に不調和が出た際、繰延税金資産、繰延税金負債を計上し、ズレを抹消させる方法です。

資産負債法は会計上の誤差を資産、負債の金額の差に注目をし改善します。

このように資産負債法は会計と税法でのアンバランスを改善させる年のうちに、その年の税率にそって繰延税金資産や繰延税負債を割り出します。

繰延法

繰延法とは、収益や費用と、税務上の益金、損金の違和感を改善する計算手段になります。誤差を抹消した年度まで、繰延税金資産、繰延税金負債を割り出し、改善させます。

資産負債法と違う点は、資産負債法は資産と負債に注目するのに対し、繰延法は収益や費用に注目する点です。

税率は不調和が起きた年度のものだけになります。

会計と税法により生まれた違いの収益と費用に注目し差を自然に整えるまで繰延税金資産や繰延税金負債として決算の時期でその都度修正していく手段です。

差異の分類・税効果会計の対象になるのは?

企業会計と税務会計について、差異を分類していきます。

企業会計と税務会計は、認識時期や考え方が異なるのです。

  • 一時差異
  • 永久差異

一時差異

会計をする際の費用と収益の金額と税務上の損金と収益の不調和の中、今後改善の見込みがあるものを指します。収益や益金、費用と損益の考え方は同じであるもの、認識期間のズレにより不自然な差が出てきます。具体例だと、会計上減価償却を費用として計上しても税務上損金として認識不能な減価償却超過額等です。一時差異の中でも「将来減算型」「将来加算型」に分けられます。

将来減算一時差異

将来減算一時差異は、そのシーズンで差が生まれた年度の税引前に当期純利益に差異部分をプラスし改善される年度に税引前当期純利益からマイナスし、調節します。具体的な例は、棚卸資産評価損の損金不算入額、退職給付引当金、減価償却費の償却限度超過額などが該当します。

将来加算一時差異

将来加算一時差異は、突発的にズレが生じた年度の税引前当期純利益のズレの部分をマイナスし、解消した年度に税引前当期純利益にプラスします。具体的な例は、圧縮積立金、特別償却準備金などの利益処分で出てきた租税特別措置法上などの準備金、資産または負債の評価のシーズンで生まれた差益などがあります。

永久差異

永久差異は、会計上の費用や収益、税務上の損金や益金の考え方や認めるタイミング自体のズレで出てくるものです。一時差異とは違って、会計の税務の考え方自体が違うため今後も会計上の費用、収益や税務上の損金、益金などの差が改善しません。そのため、適用候補に該当しません。交際費のうち損金算入度額を超過したもの、寄附金の損金不算入部分などは、費用や税務上の損金の差が今後も改善されないので、永久差異と分類されます。[d]

税効果会計の作業手順

実施する作業の主な順序を説明します。

手順を理解することで、税効果会計についてより理解が深まるでしょう。

  • 一時差異を算出
  • 繰延税金資産や繰延税金負債の算出
  • 法定実効税率の算出
  • 回収の可能性について検討
  • 税効果会計の仕訳作業

一時差異を算出

最初に会計上の利益と税法上の損益から突発的に生じる差を出します。一時差異と永久差異の両方出ますが、税効果会計を行うのは今後増えるか減るか変動の見込みがある突発的に発生した差額のみです。

繰延税金資産や繰延税金負債の算出

次は、繰延税金資産や繰延税金負債です。繰延税金資産は将来減算一時差異の中で今後の課税所得から減らすことが可能です。繰延税金資産や繰延税金負債は将来減算一時差異、将来加算一時差異を割り出します。

法定実効税率の算出

法定実効税率は、法人税や事業税、住民税などの税率を使う税率です。法定実効率は「法人税率×(1+住民税率)+(事業税率+事業税標準税率+地方法人特別税率)÷1+(事業税率+事業税標準率+地方法人特別税率)」という式で成り立ちます。法定実効税率が出たら、繰延税金資産や繰延税金負債の割り出しも行います。

回収の可能性について検討

今後回収可能と考えられるものについての検討をします。回収の見込みは資産性と同じで、回収が可能なものがあれば今後において見込みのある税金を減らすことができます。ズレを回収する時に課税所得があるかしっかりと確認しましょう。判断のポイントは、収益力を元に課税所得の十分な回収見込みがあるか、タックスプランニング、将来加算一時差異の見込みがあるか確認をして、今後回収の見込みは考えられるか慎重な検討を行うのがポイントと言えます。

税効果会計の仕訳作業

最後は税効果会計の仕訳です。将来減算一時差異と将来加算一時差異は別で行いましょう。

将来減算一時差異の仕訳

借方貸方
繰延税金資産法人税等調整額

差額が改善できた場合

借方貸方
法人税等調整額繰延税金資産

将来加算一時差異の仕訳

借方貸方
投資有価証券その他有価証券評価差額金その他有価証券評価差額金繰延税金負債

このような流れになります。

まとめ:

当記事の内容をまとめます。

  • 税効果会計に携わる機会は多くはないが理解しておくと便利
  • エクセルや会計ソフトなどを使い効率的な作業方法を検討しよう
  • 会計ソフトは、仕訳入力、税金計算、電子申告までできるものもあり、自社の状況を確認し、活用を考える必要がある