【事業承継に強い税理士が徹底解説】家業を継ぐメリット・デメリット
✔当記事はこのような方に向けて書かれています
「家業があるけど、継ぐべきなのだろうか?」
「家業を継ぐメリットやデメリットがあれば知りたい!」
「家業を継いで大変なことってどんなことだろうか?」
✔当記事を通じてお伝えすること
- 家業とは?
- 家業を継ぐメリット・デメリット
- 家業を引き継ぐ方法
当記事では、家業を引き継ぐメリット・デメリットについてはもちろん、家業をスムーズに継ぎ、事業を拡大するための方法まで解説しています。
ぜひ最後までご覧ください。
家業の2つの定義
はじめに、家業の2つの定義を解説します。
家業を継ぐにあたり、異なる定義を知っておく必要があるからです。
- 代々受け継がれてきた業
- 生計を立てるための業(稼業)
代々受け継がれてきた業
家業とは、代々受け継がれてきた業という意味を持ちます。
一族が独自の技術を活かし、複数の世代で引き継いできた事業という意味合いがあるのです。
例えば、以下のようなものは代々受け継がれてきた業といえます。
- 代々受け継がれてきた土地や不動産を運用する不動産オーナー業
- 親から引き継いだ税理士業
- 代々持つ工場でエンジンを作る仕事
このように先祖代々営んできた職業を継ぐ場合は「家業を継ぐ」といいます。
生計を立てるための業|稼業
カギョウとは、生計を立てるための業(稼業)という使われ方もします。
一家の生計を維持するために、収入を得るための職業を指すのです。
生計を維持するための職業という意味合いが強いので、自営業や法人などの事業形態は問われません。
事業形態にかかわらず、生計を立てるための職業を継ぐ場合も「家業を継ぐ」といえます。
代々受け継がれてきた家業を継ぐタイミング3選
次に、家業を継ぐタイミングについて解説します。
継ぐタイミングによって、注意するべきポイントが異なるからです。
- 相続により事業を承継
- 親の引退により事業を承継
- 周囲の勧めやプレッシャーにより事業を承継
相続により事業を承継
ひとつ目は、相続により事業を承継する場合です。
家業を営んでいた親が亡くなり、そのお子様が事業を引き継ぐことになったというケース。
引き継ぐ人は、以下の点に気を付けましょう。
- 株式を誰が引き継ぐか
- 株式以外の資産をどう振り分けるか
家業に支障をきたさないためにも、できるだけ早めから、後継者を誰にするかなどの準備をしておくべきといえます。
親の引退により事業を承継
2つ目は親の引退により事業を承継する場合があげられます。
親に病気の治療や介護が必要になると、親自身が事業に関わるのが難しくなるからです。
引き継いだ方々は、親の身の回りの世話をしながらも、アドバイスがもらえます。
親が長年培ってきたスキルを後継者に伝えられれば、スムーズに事業を引き継げるといえます。
周囲からの勧めやプレッシャーにより事業を承継
3つ目は周囲からの勧めやプレッシャーにより事業を承継する場合があげられます。
親が高齢になると、親だけでなく、周囲から事業を引き継ぐよう勧められるのです。
親子で事業承継について話し合うことに加えて、周囲からの励ましや勇気づけによってご子息の覚悟が決まるケースも少なくありません。
事業承継には相応の期間がかかるため、子供の覚悟が決まった段階で引き継ぎに向けた準備を始めると安心だといえます。
家業を継ぐメリット6選
次に、家業を継ぐメリットについて解説します。
メリットを知っておくと、家業を継ぐかどうかを判断する一つの基準になるからです。
- 経営者になれる
- 既存の仕組みや顧客を引き継げる
- 定年やリストラの不安がなくなる
- 親・親族が安心する
- 自分の子供にも立場を引き継がせられる
経営者になれる
ひとつ目は、経営者になれることです。
一般的な会社員の場合、昇進を重ねて経営者になれるのはほんの一握り。
経営者としてのスキルがつくのはもちろん、新たな人脈が得られることや、労働時間を自由に決められることも財産です。
家業を継ぎ経営者になると、本人のスキルと働く環境の双方でメリットがあります。
既存の仕組みや顧客を引き継げる
2つ目は、既存の仕組みを活用できることです。
歴代の経営者が築いてきた経営基盤やノウハウをそのまま活かせるからです。
例えば、以下のようなことが挙げられます。
- 先代が仲良くしている取引先や仕入れ先や仕入れ先を引き継げる
- 先代の経営手法を伝授してもらえる
- 経験を積んだ従業員に継続してお願いできる
新規で一から開拓しなくても、一定の売り上げがあり、事業の仕組みを活用できるのはメリットでしょう。
定年やリストラの不安がなくなる
3つ目は、定年やリストラの不安がなくなることです。
家業を継いで経営者になれば、自分の意思で退職のタイミングを決められます。
会社員の場合は、退職する年齢も決まっていますし、会社の業績によってはリストラされ職を失う可能性もゼロではありません。
受け継いだ家業を順調に営むことができれば、急に仕事を失う不安がなくなるのです。
親・親族が安心する
4つ目は、親・親族が安心することです。
親から子どもへ事業を引き継いでおけば、今後も事業を継続できるからです。
経営者にとって事業の継続は、自分の家族に加え、従業員や従業員の家族を守ることにもつながります。
事業承継により、今後は後継者に経営を任せられるので、親や親族も安心するといえます。
自分の子どもにも立場を引き継がせられる
自分の子どもにも、経営者の立場を引き継がせられます。
自分が享受した経営者としてのメリットを、そのまま子どもに伝えられるのです。
代々受け継がれてきた事業を承継でき、生活の基盤も整えられるという2つの目的を達成できます。
お子様がある程度の年齢になったら、事業を承継する意思を確認しておくと、後継者にするための準備をじっくり進められます。
家業を継ぐデメリット4選
次に、家業を継ぐデメリットについて解説します。
家業を継ぐ判断をするにあたって、メリットとデメリットの双方を把握する必要があるからです。
家業を継ぐデメリットは、以下の通りです。
- 後戻りができない
- 保証人としてリスクを負うことになる
- 新しいことを取り入れにくい
- 人に悩まされるようになる
後戻りができない
まず、後戻りができないことがあげられます。
一度引き継いだら、辞めるという選択肢がなくなってしまうのです。
会社員の場合は、仕事内容や人間関係を理由に転職も可能ですが、家業を継いだ経営者となるとそうはいきません。
背負うものが大きい分、後継者になるには相当の覚悟が必要です。
保証人としてリスクを負うことになる
保証人としてリスクを負うことになるのもデメリットだといえます。
原則は経営者が保証人となるため、事業を引き継ぐと、保証人の立場も引き継ぐことになるからです。
例えば以下のような契約では保証人が必要になるケースが多いと言えます。
- 賃貸物件の契約
- 金融機関からの借り入れ
経営が不調などの理由により事業資金での返済が難しい場合は、経営者個人の資金を充てる必要があるのは、デメリットといえるでしょう。
新しいことを取り入れにくい
新しいことを取り入れにくいというデメリットもあります。
長年受け継がれてきた文化や伝統を守るべきという風習があるからです。
一方で、経営者として、時代の変化に合わせた手法を積極的に取り入れる必要があります。
家業を安定的に継続するためには、双方の折り合いをつけた判断が求められます。
人に悩まされるようになる
経営者になると、人に悩まされるようになります。
事業を継続するためには、優秀な人材を確保する必要があるからです。
求人を募集しても適切な人材が集まらない、入社しても短期間で退職してしまうなど、人に関する悩みは尽きません。
会社員時代にはなかった新たな悩みに頭を悩ませる可能性があります。
スムーズに家業を引き継ぐためのポイント
次に、スムーズに事業を引き継ぐためのポイントを解説します。
ポイントを確認しておくと、不足なく準備ができるからです。
- いつ引き継ぐのかを早めに決める
- 家業の業界に詳しくなる
- 経営者に必要なスキルを学ぶ
- 事業承継における情報を集める
いつ引き継ぐのかを早めに決める
ひとつ目は、引き継ぐ時期を早めに決めることです。
引き継ぐ時期が決まれば、そこから逆算して準備を進められます。
家業を引き継ぐには、後継者の教育や、事業を引き継ぐ体制の確保など、やるべきことが多くあります。
重要なことを決定する機会も増えるため、じっくり時間をかけて進めるべきだといえます。
家業の業界に詳しくなる
2つ目は、家業の業界に詳しくなることです。
家業を引き継ぐ上で、業界特有の知識はさまざまな場面で必要になります。
例えば、以下のようなケースです。
- 取引先との商談
- 社内の従業員とのやりとり
- 会社にかかってくる電話対応
- 金融機関との打ち合わせ
家業を引き継ぐ意思がある場合は、引き継ぐ時期が決まる前からでも情報収集しておくと有効です。
経営者に必要なスキルを学ぶ
経営者に必要なスキルを学ぶ必要もあります。
雇われている会社員と経営者に必要なスキルは異なるのです。
全てを知る必要はないですが、最低限以下のような知識があると良いでしょう。
- 決算書が読める会計の知識
- 営業マンとしての、営業・コミュニケーションスキル
- 社員へのルール作りのための法務知識
人と関わりながら、まとめていく立場です。
先代の背中を見ながら、できるだけ多くを吸収してください。
事業承継における情報を集める
家業をスムーズに継ぐためには、事業承継における情報を集めることも大切です。
なぜなら、継ごうという気持ちだけでは、法的にも、周りからも、経営者として見てもらえません。
事業承継には、必要な手順があります。
流れはもちろん、気を付けるべき点など一通り知っておくべきといえるでしょう。
当事務所の事業承継ブログでもさまざまな情報を提供しています。
家業を拡大していくために
家業を拡大していくためにできることを紹介していきます。
せっかく引き継いだのであれば、より拡大し、安定した基盤を作りましょう。
- 事業計画をたてる
- 人事評価制度を見直す
- 計画や精度を社内に周知する
- 次世代の育成をする
事業計画を立てる
事業を拡大させるためには、事業計画をたてましょう。
なぜなら、会社がどこに向かっていくかが明確でなければ、今やるべきことが見えてこないから。
日本政策金融公庫など、さまざまな機関で事業計画のテンプレートは入手できます。
ただここで申し上げたいのは、形式にこだわることではなく、会社の向かうべき方向を明確にすること。
一度時間を作って、考えてみてください。
人事評価制度を見直す
人事評価制度の見直しも、事業拡大に必要な場合があります。
古い体制のままでいると、今の働き手には魅力的に映りません。
既存の社員を無下にするのではなく、より今の時代に合った人事制度を考えるのも育成・採用において、良い効果をもたらすでしょう。
計画や制度を社内に周知する
事業を拡大するために、たてた計画や制度を社内に周知しましょう。
なぜなら、社員に浸透し、実行できて初めて計画は生きてくるのです。
新しいことであれば、反発もあるでしょう。
計画や制度に加えて、経営者としての想いを伝えることをおすすめします。
次世代の育成をする
次世代の育成も、事業拡大には欠かせません。
自分だけではできることが限られています。
若い世代の社員や次期後継者を含め、あなたが学んだ知識や経験を引き継いでいきましょう。
教えることで、あなたにとって新しい発見もあるのです。
まとめ:家業を継ぐのは良い面・悪い面の両面がある
当記事の内容をまとめます。
- 家業とは、先代から引き継がれている業のこと
- 家業を継ぐメリットは、既存の仕組みを使い、新たな立ち場にチャレンジできること
- 家業を継ぐデメリットは、会社員と違い、簡単に投げ出せないこと
家業を継いで、既存の顧客・取引先を守ろうとしている方は多いです。
ただせっかく決断しても、引き継ぎ方でつまづくと、意図せずとも、周りに迷惑がかかってしまいます。
しっかりとスタートを切るためにも、専門家への相談を忘れずに行いましょう。
西山税理士事務所は、次世代の方とともに歩める税理士事務所です。
短期的な視点でなく、長期的な最善策をご提案します。