サクセッションプランとは?その策定する理由や手順までを丁寧に解説
✔当記事はこのような方に向けて書かれています
「サクセッションプランとは何だろうか?」
「サクセッションプランをおこなう手順が知りたい」
「サクセッションプランの実例ってあるの?」
✔当記事を通じてお伝えすること
- サクセッションプランとは?
- サクセッションプランを策定する理由
- サクセッションプランの策定方法
当記事では、サクセッションプランについての基本はもちろん、サクセッションプランをどのような手順でおこなうべきかまで解説しています。
ぜひ最後までご覧ください。
サクセッションプランについて知っておくべきこと3選
こちらでは、サクセッションプランについて知っておくべき3つのポイントについて解説します。
この3点を押さえておけば、サクセッションプランを実践できるからです。
- サクセッションプランとは?
- サクセッションプランと人材育成の違い
- サクセッションプランをたてる理由
それでは、サクセッションプランについて詳しくご説明していきましょう。
サクセッションプランとは?
サクセッションプランとは、事前に組織内で策定する経営者交代の計画のことです。
突然の経営者交代が必要になった場合に、スムーズに事業継続ができるように、次の経営者の指名や選任方法、その後の業務運営などを明確にしておくことが目的です。
例えば、ある中小企業が経営者交代の際にサクセッションプランを策定していたとします。
その後、経営者が病気で急遽退任することになりましたが、サクセッションプランに従って後継者がスムーズに就任し、事業継続ができたとします。
一方、サクセッションプランがなく、後継者がいないまま経営者が退任した場合、事業継続が困難になってしまうでしょう。
サクセッションプランと人材育成の違い
サクセッションプランと人材育成の違いは、目的と指導者が異なること。
その理由は以下のとおりです。
人材育成は従業員の成長を目的とし、主に人事部が研修をおこないます。
一方のサクセッションプランは後継者候補の育成を目的としており、経営層が経営者視点から育成します。
違いを知ることで、より正確にサクセッションプランを実行できるのです。
サクセッションプランをたてる理由
サクセッションプランをたてる理由はおもに以下の3つです。
- 突然の経営者交代に備えるため
- 従業員や株主の不安を取り除くため
- 事業の成長戦略を検討するため
徳善の経営者交代に備える
経営者が不慮の事故や病気で急に亡くなった場合、突然の経営者交代が必要になります。
サクセッションプランがあれば、事業継続がスムーズに進むことができます。
従業員や株主の不安を取り除くため
経営者交代は組織にとって大きな変化です。
サクセッションプランがあれば、従業員や株主の不安を取り除くことができます。
また、計画的な交代であれば、新しい経営者の導入もスムーズに進むことができます。
事業の成長戦略を検討するため
サクセッションプランを作成する際には、事業の方向性や成長戦略を再考することができます。
経営者交代を機に、新しいビジョンや戦略を打ち出すことで、事業の成長を促すことができます。
サクセッションプランを策定する手順5ステップ
サクセッションプランには主に5つのステップがあります。
必ず目的を達してから次のステップへ進みましょう。
- 戦略を明確化する
- 必要な人材像を決定する
- 候補者を選ぶ
- 人材を育てる
- 成果を確認する
それぞれのステップを解説します。
戦略を明確化する
まずは、経営戦略を明確化します。
戦略がはっきりしていなければ、どのような人材を選べばよいのか分からなくなってしまいます。
経営戦略を明確化させることで、今後必要となる最適な人材を定義できるでしょう。
必要な人材像を決定する
次に、将来的に必要となる人材像を決めます。
どのような人材が必要なのか明確になれば、候補者を見つけやすくなるでしょう。
経営戦略を実行していくために、今後どのような人材が必要になるのかを考慮した上で人材像を定義します。
候補者を選ぶ
人材像がはっきりしたところで、将来登用できそうな候補者を選びます。
すぐに任務を実行できる人材はもちろんのこと、ポテンシャルのある人材も選抜することで幅を広げ、より良い後継者の育成につなげるためです。
候補者は、経験やスキルなどから社員を適正に評価した上で選びます。
人材を育てる
候補者が決まれば、次に育成に入ります。
育成次第で、後継者にふさわしい人材へと成長する社員も出てくるでしょう。
育成方法としては、研修やOJTがあります。
人材育成は、企業を育てることにもつながるため重要です。
成果を確認する
育成が実行された後には、成果を確認します。
成果をチェックしなければ、育成方法が適切なのか判断できません。
もし成果が出ていなければ、育成方法を変える必要も出てきます。
そのため、定期的に候補者を評価し、予定通りに育成されているかチェックすることが重要なのです。
サクセッションプランを策定する際の注意点3つ
サクセッションプランを策定する上で注意するべき点を3つ挙げます。
あらかじめ注意点を知っておけば失敗を防げたり、余裕を持って対処したりすることができます。
- 短期では結果が出にくいことを理解する
- 会社全体のモチベーションに注意する
- 計画外のことがおこる可能性がある
それでは、解説していきます。
短期では結果が出にくいことを理解する
まず、短期間では結果が出ないことを理解しておきましょう。
将来経営者や幹部になる候補者を育成することが目的のため、サクセッションプランは長期化します。
早く後継者を育てたいという場合には、サクセッションプランは向いていません。
会社全体のモチベーションに注意する
社員のモチベーションが下がることに注意しましょう。
サクセッションプランの候補から外れれば、「会社から期待されていない」「キャリアアップが望めない」と考える社員が出てきます。
社員のモチベーション低下を招かないためにも、基準を明確にする、定期的に対象者を見直すなど慎重に進める必要があります。
計画外のことがおこる可能性がある
想定外のことがおこる可能性があります。
サクセッションプランは長期にわたることが多いからです。
途中で候補者が退職したり、経営状況が変化したりすることもあるでしょう。
計画していなかったことが起こり、コストや時間が無駄になるリスクもあるのです。
サクセッションプランの実例4つ
大手企業の具体的な事例を4つご紹介します。
事例を知れば、サクセッションプランについてイメージがわき、理解も深まります。
- 花王
- トヨタ
- りそな銀行
- オムロン
それでは、見ていきましょう。
花王
花王では、優秀な社員を後継者候補として選定しています。
不測の事態に備えて、いつでも交代できるようにしておくためです。
今すぐ後任になれる人材と育成に1年から3年かかかる人材、育成に3年から5年かかる人材に分けられています。
経営理念に基づき、実績等から優秀な社員を選んでいます。
(参考:https://www.soumu.go.jp/main_content/000384492.pdf)
トヨタ
トヨタでは、役員や部長クラスを対象としたサクセッションプランを実施しています。
世界的に活躍できる幹部を育成するためです。
経営理念や哲学、従業員の管理におけるトヨタイムズを植え付け、後継者を育成しています。
りそな銀行
りそなでは、りそなおよび関西未来ファイナンシャルグループ、子会社の社長や役員を対象としたサクセッションプランを行っています。
企業価値の向上と役員の選抜や育成プロセスの透明化を図るためです。
外部コンサルタントから助言を得るなど客観性を確保しています。
選抜や評価、育成を明確化することで中立的なサクセッションプランを実施しています。
(参考:https://www.resona-gr.co.jp/holdings/about/governance/governance/about.html)
オムロン
オムロンでは、社長指名諮問委員会によるサクセッションプランが行われています。
緊急事態に備えるため、また社長候補を決定する上での透明性と客観性、適時性を高めるためです。
独立社外取締役が委員の過半数を占める社長指名諮問委員会が、サクセッションプランを実施しています。
(参考:https://www.omron.com/jp/ja/about/corporate/governance/chart/)
まとめ:サクセッションプランは早めにたてるのが吉
当記事の内容をまとめます。
- サクセッションプランとは、事前に組織内で策定する経営者交代の計画のこと
- サクセッションプランをたてると、さまざまな不安を取り除ける
- サクセッションプランは正しい手順でおこなおう
サクセッションプランをたてるのは容易ではありません。
なぜならサクセッションプランは、頻繁に作るものではないからです。
西山税理士事務所に相談いただければ、貴社にあったサクセッションプランを一緒に策定いたします。
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