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不動産会社の事業承継|成功するポイントや注意点をわかりやすく解説

✔当記事はこのような方に向けて書かれています

「不動産会社の事業承継について知りたい」

「不動産会社の事業承継で成功するポイントは?」

「事業承継に税金ってかかるのだろうか?」

✔当記事を通じてお伝えすること

  • 不動産会社の現状
  • 不動産会社での事業承継で知っておくべきこと
  • 事業承継の種類と税金

当記事では、不動産会社を事業承継するための具体的な方法やその手順はもちろん、成功するポイントまで丁寧に解説しています。

ぜひ最後までご覧ください。

日本における不動産業界の現状

こちらでは、日本における不動産業界の現状について見ていきます。

なぜなら、事業承継を考えるにも、業界全体がどのような状況かを把握することで、正しい判断がしやすくなるからです

  • 規模が小さめの会社が多い
  • 会社総数が増加している
  • 業界の変化が激しい

不動産業界の現状1:規模が小さめの会社が多い

全国宅地建物取引業協会連合会によると、不動産業者の8割が、従業員数が5名以下(パート・アルバイトを除く)です。(出典:令和3年度末宅建業者と宅地建物取引士の統計について|全国宅地建物取引業協会連合会)

なぜここまで小規模な会社が多いかというと、不動産業は、少人数でも大きな売上が達成可能な業態だから。

ただこれは裏を返せば、仕事のノウハウを熟知した従業員が少なく、後継できる人材が限られているということです。

この後継者不足により、「自分の代で店を閉じよう。」と考える高齢の経営者も増加傾向にあります。

不動産業界の現状2:会社総数が増加している

令和3年度末時点で、128,597業者あり、全国のコンビニエンスストア数の2倍以上にのぼります。(出典:令和3年度末宅建業者と宅地建物取引士の統計について|不動産適正取引推進機構)

これだけ会社数が増加したのは、以下のような理由です。

  • 金融緩和政策
  • 東京オリンピックの開催
  • 2025年の大阪万博開催

どれも不動産業界にとっては追い風だといわれています。

景気を刺激するイベントもあり、会社数も増加しているのです。

不動産業界の現状3:業界の変化が激しい

不動産業界は変化が激しい業界ともいえます。

その要因のひとつとして、不動産業界のIT化が挙げられます。

その例としては、以下のような仕組みの導入です。

  • IT重説
  • リモートによる内覧・内見

古いやり方のままでは、顧客はもちろん、従業員の反発を誘発する可能性もあります。

不動産業界のIT化により、各社新しい仕組みに順応することが求められているのです。

不動産会社の事業承継でやるべきこと4選

こちらでは、不動産会社の事業承継について、やるべきことをまとめます。

なぜなら、ほかの業態とは違い、不動産会社だからこそやらなければならないことがあるからです。

  • 資産を整理する
  • ノウハウをまとめる
  • 後継者を選ぶ
  • 後継者がいない場合は、M&Aを検討する

資産を整理する

不動産会社の事業承継では、資産の整理が必要です。

なぜなら資産とは現金だけでなく、以下のようなものも含まれるからです。

  • 株式
  • 不動産
  • 知的財産
  • 借入金(負の資産)
  • 将来支払う税金(負の資産) 等

とくに不動産をたくさん保有していれば、整理するのに多くの時間と手間がかかります

事業承継を考えているのであれば、少しでも早い段階で、資産の整理を始めましょう。

ノウハウをまとめる

これまで会社で培ったノウハウをまとめることも大切です。

事業承継では、業務の手順や顧客リスト等、書類やデータも次の経営者に引き継がなくてはなりません

不動産会社では、各々の会社でのルールが明確です。

どのような手法で営業活動をおこなってきたかをきちんとまとめておく必要があるといえます。

後継者を選ぶ

後継者を正しく選ぶことも大切です。

後継者選びは、事業承継における日本全体の課題ともいえます。

第三者に売却を考えないとなると、主には以下のどちらかで、後継者を選ぶことになるでしょう。

  • 親族
  • 従業員

親族を後継者に選ぶ

親族を後継者にするメリット・デメリットは以下のとおり。

✔親族内承継のメリット

  • 周囲から納得してもらいやすい
  • 贈与や相続に関わる制度が活用できる

✔親族内承継のデメリット

  • 親族だからといって、経営の素質があるとは限らない
  • 後継するまで別の仕事をしていた場合、業務を1から学ぶ必要があり時間がかかる

従業員を後継者に選ぶ

従業員を後継者とするメリット・デメリットは以下のとおり。

✔社内承継のメリット

  • 能力のある人材を幅広く選ぶことができる
  • 業務の手順がわかっている
  • 社内や取引先との関係性が築けている

✔社内承継のデメリット

  • 株式の買い取りに、膨大な資金が必要である
  • 経営者の親族から反対される可能性がある

後継者がいない場合、M&Aを検討する

後継者がいない場合は、M&Aを検討します。

M&Aとは「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略で、文字通り、他の会社との合併や、買収してもらうことにより経営を存続させる方法です。

以下のようなメリットが考えられます。

  • 後継者不足による倒産を防ぐ
  • 従業員の雇用を守る
  • 売却益が得られる

売却益が得られれば、新しい事業への投資や早期退職が可能になります。

不動産会社を売る際の3つのポイント

不動産会社を売ることを検討しているなら、以下のポイントをおさえましょう。

  • 売り上げが上がる仕組みがあるか
  • 人手が足りているか
  • 資産を持っているか

ポイントを押さえなければ、思ったよりも低い値段が付いてしまう可能性があります

売上が上がる仕組みがあるか

不動産の会社を売る際には、売上が上がる仕組みがあるかが大切です。

なぜなら、買い手は慈善事業ではなく、営利目的で会社を買収するから。

例えば、売り上げが大きくても、現経営者に頼っている売り上げでは、買い手には魅力的ではありません。

誰が経営者だとしても、一定の売り上げが見込める仕組みが必要です。

人手が足りているか

人手が足りているかどうかも、売る前に確認しましょう。

なぜなら、買い手の買収目的が、人手不足解消の場合もあるからです。

不動産業界の人手に関するデータは以下のとおり。(出典:令和2年上半期雇用動向調査|厚生労働省)

  • 入職率:9.9%(令和2年上半期)
  • 離職率:8.1%で全16業種中6番目

若くて優秀な人材の獲得や育成が難しい現状があります。

買い手企業にとって、良い人材がいるだけでもとても魅力的な企業に映るのです。

資産を持っているか

不動産会社として、資産を持っているかは大事な指標です。

なぜなら、売上や人材に魅力を感じなくても、資産があれば、買い手に取っては魅力的だから。

資産とは、現金だけではなく、自社ビルや収益物件のこと。

持っている資産で、売却益や賃料が見込めるのであれば、売上や人手が足りなくても買い手が見つかる可能性があるといえます。

事業承継で負担すべき税金

不動産会社の事業承継で負担すべき税金をご説明します。

事業承継をおこなうと、少なからず税金がかかるのです。

以下の場面別にかかる税金をご覧ください。

  • 株式譲渡
  • 事業譲渡
  • 生前贈与
  • 相続
  • 事業承継税制

売買による株式譲渡

売買による株式譲渡とは、現経営者が保有する株式を売却し、対価を得る方法です。

M&Aではほとんどが売買による譲渡になります。

譲渡した株主が個人の場合は売却益に対し譲渡所得税が、法人の場合には法人税が課されます。

事業譲渡

会社が営む事業の全部、または一部を他の会社に対して売却することを事業譲渡と言います。

譲渡されるものとしては、主に人材や技術・設備等が対象です。

事業譲渡で発生した利益には法人税等が30〜40%かかり、株式の譲渡と比べると税負担が重くなりますが、他の事業で赤字がある場合には、その譲渡益と損益通算が可能です。

生前贈与

現経営者が生きている間に無償で後継者へ株式を譲渡する方法です。

贈与の方法は主に2つ。

  • 暦年課税精度
  • 相続時精算課税制度

暦年課税精度

「暦年課税制度」を利用すると、年間110万円まで贈与税非課税となります。(2022年11月時点)

累進課税であり、まとめて贈与すると税負担が大きくなります。

相続時精算課税制度

暦年課税精度では、一定額を上回ると税率が上がるため、大きな財産を相続することが予想される場合には「相続時精算課税制度」を利用する方法もあります。

この方法によると、贈与財産の価額のうち、2,500万円までは、贈与税がかかりません。

残りの部分に一律20%の贈与税が課されるようになります。

ただし、年齢などで条件があることや相続税がかかることは知っておく必要があります。

相続

相続による事業承継は、遺言書や遺産分割協議によって後継者へ株式を譲渡する方法です。相続税が課されます。

何も準備をせずに経営者が死去すると、後継者が全ての株式を相続できない可能性や、他の親族と揉めるといった相続トラブルが発生します。

事前に、後継者に対する相続の旨を明記した遺言書の準備や、弁護士等の専門家に相談して対策することが望ましいでしょう。

事業承継税制:資産管理会社は対象外

事業承継税制とは、税金が負担となり事業承継をあきらめる中小企業やその後継者を救済するために設けられた制度です。

平成30年から10年間は会社や個人事業の後継者が取得した資産にかかる贈与税・法人税が100%免除されることになりました。

しかし、以下の資産管理会社に当てはまると同制度は使えません。

  • 資産保有型の会社
  • 資産運用型の会社

それぞれ当てはまるには条件がありますが、不動産をたくさん持っていると該当してしまう場合がありますので、注意が必要です。

詳しく調べたい方は、専門家に尋ねるのが良いといえるでしょう。

西山税理士事務所への問い合わせはこちら

まとめ:不動産会社の事業承継は早めの準備が鍵

当記事の内容をまとめます。

  • 不動産会社に限らず、後継者不足は日本全体の課題
  • 不動産会社売却のポイントは、営業力・人材・資産の3つ
  • 不動産会社の事業承継方法は主に3つある

長年営業されてきた不動産会社は、従業員の人数や規模に関わらず、独自の強みを持っていることがほとんどです。

これまで蓄積してきたノウハウや顧客を維持していくためにも、正しい事業承継は必須。

資産の割合などが特徴的な不動産会社は、他業種よりも早めの準備が必要となります。