社長や代表取締役の交代時における手続きや流れ、費用について徹底解説
✔当記事はこのような方に向けて書かれています
「社長や代表取締役の変更時における手続きが知りたい」
「社長や代表取締役変更時の必要書類は何?」
「社長や代表取締役変更時にかかる費用はどのくらい?」
✔当記事を通じてお伝えすること
- 社長や代表取締役交代時に必要な手続き
- 手続き時に必要な書類一覧
- 社長や代表取締役変更時にやるべきこと
当記事では、社長や代表取締役が変更になる際にやるべきことはもちろん、必要書類や一般的な費用までご紹介しています。
ぜひ最後までご覧ください。
社長や代表取締役の変更に必要な5つの手続き
社長・代表取締役の交代の際には、さまざまな手続きが必要です。
適切な手続きのプロセスを経ないと、社内外の信用にもかかわってきます。
- 取締役会・株主総会での決議
- 法務局で登記の変更と登記簿の発行
- 税務署等での代表者変更手続き
- 銀行での名義変更手続き
- 社会保険関連の手続き
それぞれの手続きを詳しく見ていきましょう。
取締役会・株主総会での決議
社長・代表取締役を本人の意向でいきなり辞めてはいけません。
まずは会社内での新たなトップの選定が必要となり、その方法も取締役会設置会社か取締役会非設置会社で異なってきます。
- 取締役会設置会社:取締役会による代表取締役選定決議
- 取締役会非設置会社:次のいずれかの方法で選定
- 株主総会の決議
- 互選により選出
- 定款で代表取締役を指名
- 取締役全員を代表取締役にする
法務局で登記の変更と登記簿の発行
代表取締役の選定後は、法務局で登記の変更が必要です。
法務局で登記変更の手続きを行えば、登記簿が発行されます。
代表取締役を決めてから2週間以内に申請が必要です。
登記簿が揃えられないとその後の手続きも進まなくなるので、なるべく早く変更した方が無難です。
税務署等での代表者変更手続き
法務局で登記の変更が不備なく完了できれば、1〜2週間程度で登記簿が取得できるようになります。
この登記簿を使用し、次の行政機関で代表者変更の手続きを済ませましょう。
- 国税→税務署
- 都道府県民税→都道府県民税事務所
- 市町村税→市町村役場(東京23区の特別区の届出は不要)
銀行での名義変更手続き
会社と取引している銀行等の金融機関でも、名義変更の手続きが必要です。
各金融機関では代表者の変更でも、手続きをするよう取り決めていることがほとんど。
会社名や所在地が変更されるわけではないからと手続きを怠っていると、取引に影響が出てしまうこともありますので、注意が必要です。
社会保険関連の手続き
健康保険や公的年金に関する代表者変更届も次の事務所・組合へ提出しましょう。
- 協会けんぽ加入の会社→年金事務所
- 健康保険組合加入の会社→健康保険組合・年金事務所
加入している組合や協会で手続きは異なります。
忘れずに手続きをおこなってください。
手続きで揃えておくべき書類一覧
社長・代表取締役の変更の手続きには申請用紙の他、さまざまな証明書等が必要です。
書類に不備があれば提出のやり直しになるので、慎重な書類の作成収集が求められます。
- 変更登記申請書
- 代表取締役の選び方に応じた書類
- 印鑑証明書
- 印鑑届出書
- 代表取締役の就任承諾書
- 委任状
必要書類の概要やその提出先について見ていきます。
変更登記申請書
社長・代表取締役の交代があった場合に記入する申請書です。
最寄りの法務局窓口または法務局のホームページで取得できます。
必要事項へ記入後は、本店の所在地を管轄する法務局へ提出します。
代表取締役の選び方に応じた書類
登記申請の際は変更登記申請書の他、様々な書類を添付します。
どのように新たな社長・代表取締役が決定されたかで、添付する書類も違ってくるので注意しましょう。
株主総会の議事録・株主リスト
会社内の意思決定機関である株主総会(または取締役会)で、適正に議決したことを証明するために用意します。
議事録内には新しく選任された代表取締役の氏名のほか、開催日時・場所、議事の経過の要領・結果等が明記していなければいけません。
互選書
取締役会非設置会社で取締役が2人以上いた場合、相互に代表取締役の選定をした証明として作成する書類です。
互選書には決定日や、取締役の過半数以上の賛成で決定した旨、選定された人の氏名・住所等が明記されていなければいけません。
定款
定款に従い代表取締役を選定した場合、その事実を証明するために会社の定款も添付します。
印鑑証明書
代表取締役を辞める人の他、新しく就任した代表取締役、事務手続きをする取締役が用意します。
印鑑証明書はお住いの市区町村役場の窓口かマルチコピー機のあるコンビニ、郵便局で取得しましょう。
印鑑届出書
新たな代表印で変更登記をする場合に用意する用紙で、法務局で取得できます。
代表印に変更前の代表取締役の氏名が刻印されていた場合、そのままでは使えないので代表印を変更します。
印鑑届出書には、印鑑提出者本人の氏名・住所、市区町村へ登録済の印鑑による押印が必要です。
代表取締役の就任承諾書
代表取締役に選任された人が承諾の意思を示した書類です。
就任を承諾した旨はもちろん、選任された株主総会の日付、作成日、氏名・住所等の明記が必要です。
委任状
代理人に申請を委任させた場合、委任した事実を証明する書類です。
委任状に委任者の権限を委任した旨、委任者・受任者の氏名・住所・委任した日付を明記します。
社長変更時に必要なそのほかの手続き
会社の株主総会または取締役会等を経て、変更手続きを済ませても、それで十分とはいえません。
会社内外へその報告を遅滞なく行わないと、混乱を招くおそれがあります。
- 社内への通知
- 取引先への通知
- 書類の記載事項変更
- ホームページの修正
- 契約の再締結・連帯保証人の変更
必要な通知や手続きについて、解説していきます。
社内への通知
社長・代表取締役の交代が決まったら、会社の従業員にも通知します。
社長の交代は、会社や社員にとって大きな影響を及ぼすからです。
取引先がその事実を知っていて、会社の従業員が知らなければ、社内の統率ができていないと疑われるおそれもあります。
適切なタイミングで、社内への通知をおこないましょう。
取引先への通知
新しい社長・代表取締役の決定後、速やかに取引先へ挨拶状などを送り、報告しましょう。
報告が遅れると取引先から信頼を損なう恐れがあるからです。
会社にとって重要な取引先ならば、直接経営者が挨拶に伺うのも良い方法といえます。
取引先との関係を考えて、事前に適切な方法で通知してください。
書類の記載事項変更
書類に記載されている社長・代表取締役の氏名を確認する必要があります。
なぜなら、会社の報告書等を作成するのフォーマットが、前社長の氏名のままになっているケースがあるから。
漏れなく新しい社長・代表取締役の氏名に変更しましょう。
ホームページの修正
ホームページは会社の顔とも言えるので、新しい社長・代表取締役の氏名を変更します。
通知とホームページの記載情報が違うと、社員や取引先が困惑してしまうからです。
できれば前社長の退任のご挨拶と現社長の就任のご挨拶など、丁寧に載せておくと良いでしょう。
契約の再締結・連帯保証人の変更
代表者の変更により、契約を再締結したり、保証人を変更したりする必要が出てきます。
その理由は以下のとおり。
- 契約の再締結:契約書に前社長の名前が載っているもの
- 保証人の変更:前社長の連帯保証人付きで契約となったもの
例えば、賃貸している土地や建物、銀行からの借入金などが挙げられます。
全てが契約の再締結になるわけではありませんが、前社長の信頼が厚ければ厚いほど、いなくなってしまったときの手続きは面倒になってしまう可能性があるでしょう。
社長や代表取締役の変更時にかかる費用
社長・代表取締役の変更登記を法務局へ申請する際に費用がかかります。
主に以下の2つです。
- 登録免許税
- 印鑑証明書発行
- 代表印作成
登録免許税
登録免許税は以下のとおりです。
- 資本金1億円以下の会社:10,000円
- 資本金1億円超の会社:30,000円
その他:印鑑証明書発行・代表印作成
それぞれの費用です。
- 印鑑証明書の発行手数料:1通300円
- 代表印:900円~
士業への依頼では、約5万円程度見ておく必要があります。
社長交代時における注意事項:登記懈怠について
社長・代表取締役の交代が生じたらその2週間以内に変更の登記をしないと、ペナルティを課せられるおそれがあるので注意しましょう。
これは「登記懈怠」と呼ばれ、代表者個人が100万円の過料を課せられてしまう場合もあります。
どうしても登記申請の時間がない場合は次の方法を検討しましょう。
- 司法書士に登記手続きを依頼する
- 法務局でオンライン申請を行う
司法書士に依頼すれば、報酬が発生するものの手続きの不備もなくスムーズに登記を完了できるはずです。
一方、オンライン申請ならば窓口に向かわなくても、空いた時間に申請が可能です。
ただし、申請者情報の登録や申請用総合ソフトのインストール等、やや準備に手間がかかってしまいます。
まとめ:社長交代時の手続きにはやるべきことがたくさん
当記事の内容をまとめます。
- 社長や代表取締役交代時に必要な手続きは意外とたくさんある
- 手続き時に必要な書類は、社長の選び方によって変わる
- 社長や代表取締役変更時にやるべきことは、社内外の信用にも関わる
社長や代表取締役が変わることはそう多くはありません。
もしその場に居合わせたら、いろいろとやることも多く、不安に感じる方も多いはず。
普段の業務に加えて、さまざまな手続きをミスなくやるのはとても大変です。
西山税理士事務所では、経営者の皆様が本業に専念できるよう、さまざまなサポート体制を構築し、事務の手間を減らします。