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有限会社の相続方法とは?相続財産やその手続きについてを丁寧に解説

✔当記事はこのような方に向けて書かれています

「有限会社では何が相続財産になるのだろうか?」

「有限会社を相続する手順が知りたい。」

「有限会社を承継できないときはどうすれば良いの?」

✔当記事を通じてお伝えすること

  • 有限会社の相続財産について
  • 有限会社を相続する手順
  • 有限会社を承継しないときの手法

当記事では、有限会社の相続について、その手順や方法を細かく解説していきます。

ぜひ最後までご覧ください。

有限会社の相続財産について

はじめに、有限会社の相続財産について解説します。

相続対策を考えるためには、相続財産についてあらかじめ知っておく必要があるからです。

  • 有限会社の相続財産とは?
  • 有限会社で経営権を得るには?

有限会社の相続財産とは?

有限会社の相続財産は株式です。

相続財産は被相続人が個人名義で所有している資産が対象だからです。

経営者に相続が発生しても、相続人が有限会社そのものを引き継ぐわけではありません。

不動産や設備など、会社が所有する財産は相続財産ではない点を理解しておく必要があります。

有限会社で経営権を得るには?

有限会社で経営権を得るためには、後継者を社員総会で取締役に選任する手続きが必要です。

なぜならば、会社の経営権と所有権は分かれており、株式を相続しても経営権を取得することにはならないからです。

取締役の選任は普通決議に該当するため、議決権の過半数の同意を得る必要があります。

後継者が議決権の過半数を取得していれば、手続きが円滑に進みます。

有限会社を相続する5つの手順

こちらでは、有限会社を相続する5つの手順について解説します。

事前に順序を確認しておくと、手続きをする際にスムーズに着手できるからです。

  • 有限会社の株式を評価する
  • 株式を含めた財産を相続人で分ける
  • 株主の名義を書き換える
  • 相続税の納付をする
  • 経営権を取得する

有限会社の株式を評価する

はじめに、有限会社の株式を評価します。

株式の評価は、実際の出資金額とは異なり、会社の業績によって変動するからです。

株式の評価方法は、会社の規模によって以下の3パターンに分かれます。

  • 類似業種比準方式
  • 純資産価額方式
  • 両者を併用した方式

株式の評価方法は複雑な部分も多いので、税理士などの専門家と相談しながら行うことをおすすめします。

株式を含めた財産を相続人で分ける

次に、株式を含めた財産を相続人で分けます。

遺産分割協議を行い、誰がどの財産を引き継ぐかを決める必要があります。

法定相続人が相続する財産の割合は、あらかじめ民法で決められていますが、相続人全員が納得していれば、法定相続分通りに分けなくても問題ありません。

会社経営を円滑に進めるためには、株式はすべて後継者が相続するほうが望ましいです。

特に経営者の子供が複数いる場合は、事前に誰が会社を引き継ぐのかを決めておくと安心です。

株主の名義を書き換える

株式を相続したあとは、株主の名義を書き換えます。

名義を書き換えることで、会社に対して株主の権利を行使できるからです。

相続による名義書換の場合は、株式を引き継いだ相続人から会社へ書換請求を行います。

戸籍や遺産分割協議書、登記簿謄本などの、株式を相続したことが分かる書類と、株主名簿書換請求書を会社へ提出してください。

相続税の納付をする

相続財産が基礎控除を超える場合は、相続税の納付が必要です。

相続税の納付期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。

なお、非上場株式の場合は、一定の条件を満たせば事業承継税制が適用でき、相続税の納税を猶予できます。

ただし事業承継税制には、条件を満たさなくなると納税猶予が打ち切りになるというデメリットもあるのです。

自社にとって最良の選択をするためにも、税理士などの専門家に相談しながら進めていきましょう。

経営権を取得する

最後に、経営権を取得するための手続きを行います。

有限会社で経営権を取得するには、社員総会で取締役に選任される必要があるからです。

取締役の選任は普通決議で決められます。

そのため、後継者が議決権を過半数以上取得していれば、スムーズに経営権を取得できるといえます。

有限会社を継ぐ人がいないときの手法3選

次に、有限会社を継ぐ人がいないときの手法について解説します。

後継者がいない場合は、何らかの対策をする必要があるからです。

  • 解散をする
  • 売却する
  • 相続放棄を選択する

解散をする

1つ目の方法は、会社を解散することです。

相続人が会社を引き継いだあと、以下の手順で解散と清算の手続きを行います。

  • 遺産分割協議で誰が株式を相続するか決める
  • 株主名簿を書き換える
  • 社員総会で解散の特別決議をする
  • 解散登記をする
  • 清算手続きを行う

ただし、会社に多額の借入がある場合は解散手続きができないため、注意しましょう。

売却する

事業を継続したければ、会社を売却する選択もできます。

会社を売却できれば、今後も事業を継続できて従業員の雇用も守れるからです。

有限会社のままでは売却手続きができないので、まず株式会社に変更する必要があります。

株式会社に変更後、M&A仲介業者などを通じて買い手となる企業を選定し、売却手続きを行います。

相続放棄を選択する

3つ目の方法は、相続放棄を選択することです。

相続放棄をすれば、被相続人の借入も含めて引き継ぐ必要がなくなるからです。

会社に多額の借入があり、相続人が会社を継ぐ意思がない場合は、相続放棄を検討する方法もあります。

相続放棄の期限は、被相続人が亡くなったことを知った時から3ヶ月以内なので、すみやかに判断する必要があります。

有限会社の相続時に気を付けるべき3つのこと

最後に、有限会社の相続時に気を付けるべきことをお伝えします。

注意点を確認しておくと、実際に相続手続きをする際に役立つからです。

  • すべての財産を正しく把握する
  • 遺留分に気を付ける
  • 経営を任せるひとを適切に選ぶ

すべての財産を正しく把握する

1つ目に、すべての財産を正しく把握することです。

被相続人の財産をすべて把握していないと、申告漏れにより過少申告加算税などのペナルティが課されてしまうことがあります。

もしすべての財産を把握できない場合は、被相続人の通帳などを一から探さなければならないため、かなりの時間と労力が必要です。

生前のうちにあらかじめ取引金融機関を整理しておけば、残された相続人の負担を軽減できます。

遺留分に気を付ける

遺留分にも注意しなければいけません。

他の相続人から遺留分侵害請求権を行使された場合は、不足分を金銭で支払わなければいけないからです。

例えば、後継者が株式をすべて相続することにより遺留分を侵害する場合は、預貯金などの他の資産を活用し、遺留分を侵害しないように遺産を分割する必要があります。

経営者が生前のうちに遺言書などを活用し、相続人の遺留分を侵害しない範囲で資産の分割方法を検討しておくと安心です。

経営を任せる人を適切に選ぶ

経営を任せる人を適切に選ぶことも大切です。

経営者は会社を存続する上で極めて重要な役割を担っているからです。

経営に対する意欲はもちろん、事業に関する専門知識やコミュニケーション能力なども求められます。

後継者を選任する際は、上記の能力を総合的に判断する必要があるといえます。

まとめ:有限会社の相続

当記事の内容をまとめます。

  • 有限会社の相続財産は、株式会社と同様その株式である
  • 有限会社を相続する手順は、専門家に相談しよう
  • 有限会社を承継しないときは、早めにどうするかを決めよう

有限会社の相続財産は株式で、株式会社と同様となります。

ただし事業を引き継ぐ際は少し手順が違うことも。

西山税理士事務所であれば、相談は無料。

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