【現役税理士監修】赤字でも事業承継できる方法について徹底解説
✔当記事はこのような方に向けて書かれています
「赤字や債務超過でも事業承継ってできるのか知りたい」
「そもそも赤字と債務超過って何か違うの?」
「債務超過でも事業承継ができる方法やコツが知りたい」
✔当記事を通じてお伝えすること
- 赤字・債務超過とは何か
- 債務超過でも事業承継はできるのか
- 債務超過でも事業承継をしやすくする方法
当記事では、債務超過でも事業承継ができるかどうかだけでなく、どうすればよりスムーズに事業承継を進められるかまでご理解いただけます。
ぜひ最後までご覧ください。
赤字・債務超過についての基礎知識
こちらではまず赤字や債務超過とは何かについて解説します。
それぞれの定義や違いをきちんと理解しておきましょう。
- 債務超過とは
- 債務超過と赤字の違い
債務超過とは
債務超過とは、資産よりも負債が多くなっている状態を指します。
資産とは、現金はもちろん、不動産や設備。備品など。
負債は主に、長期と短期に分けられます。
必ずしも倒産するわけではなく、あくまでも財務状況がマイナスであると覚えておきましょう。
債務超過と赤字の違い
赤字とは、売り上げよりも費用が上回って、利益がマイナスのことを指します。
債務超過と赤字の違いをまとめると以下のとおり。
- 債務超過は、資産がマイナス
- 赤字は、収益がマイナス
債務超過でも黒字だったり、赤字でも債務超過でないこともありえます。
ただし繰り返し赤字となっていると、債務超過になりやすいといえるでしょう。
それぞれの違いをしっかりと理解してください。
事業承継と債務超過
事業承継においては債務超過の企業は不利といえます。
なぜなら事業承継は、会社を別の人に引き継ぐこと。
資産がマイナスな会社を引き受けたい人は多くありません。
ただし全くいないというわけでもありませんので、次章以降詳しく見ていきましょう。
債務超過でも事業承継はできる?
債務超過の企業では、どのようにしたら事業承継ができるのかを説明します。
債務超過をそのままにしておいたら、事業承継が難しくなってしまうのです。
- 債務超過の解消
- 簿外債務の影響
- 分社化
債務超過の解消
債務超過を解消すると事業承継しやすくなります。
なぜなら承継者の負担がなくなるので、継ぎたいと思う人が増えるから。
債務超過を解消する方法はひとつではありません。
次章にて詳しい方法を解説していきます。
簿外債務の影響
事業承継において、墓外債務があると継ぎたい人が見つかりにくくなります。
その理由は、決算書類で出てこない負債が見つかるかもしれないからです。
たとえば以下のような負債があとから出てくることがあります。
- 未払残業代
- 未払社会保険料
簿外債務についても詳しく見ていく必要があります。
分社化
分社化により事業承継ができるようになるケースもあります。
なぜなら事業ごとに収支を計算できるようになるからです。
具体的には以下のどちらかが主な方法となります。
- 吸収分割
- 新設分割
分割することで、スムーズに事業承継ができることもあるのです。
債務超過を解消する3つの方法
債務超過を解消する3つの方法をご紹介します。
できることはいくつもありますが、正しいやり方でおこなわなければ、あとで困ったことになってしまうかもしれません。
- 債権放棄
- 資産の売却
- DESにより債務を株式へ転換
債権放棄
債務超過の原因が、代表者や役員など個人からの借入金の場合、その債権を放棄することにより、債務超過を解消できる可能性があります。
過去に代表者などの個人が費用を立て替えると、帳簿上は借入金となるのです。
ただし、債権放棄をする際には以下の点に注意しましょう。
- 放棄する人以外に株主がいるか
- 繰越欠損金や登記純損失があるか
貴社の状況によっては、債権放棄により税負担が発生する可能性があります。
必ず信頼できる税理士に相談してから、決めてください。
資産の売却
資産の売却も、債務超過を解消する方法のひとつです。
なぜ債務超過が解消できるかというと、固定資産を現金化することで、借入金の返済に充てられるから。
事業に影響が少ない資産を保有しているのであれば、債務超過解消のために売却を検討するのも検討すべきです。
ただし必ず専門家に相談のうえ、慎重に進めてください。
DESにより債務を株式へ転換
DESとは、Debt Equity Swapの略称で、債務の株式化という意味があります。
主には、銀行や投資ファンドなどの金融機関が、取引先の支援を目的に、債務を株式にスワップすることです。
会社全体の資産量は変わりませんが、借入金が資本金に変わるので、債務を減らせるメリットがあります。
ただし、銀行は、発行済み株式総数の5%しか持てないという規制のため、債務が多大な場合は、すべて株式に振り返るのは難しいといえるでしょう。
状況によっては、知っておくと良い方法だといえます。
簿外債務の有無を調べる
簿外債務の有無を調べる必要性について見ていきましょう。
簿外債務があると、注意しなければならないことがあります。
- 簿外債務とは?
- 簿外債務の影響
簿外債務とは?
簿外債務とは、帳簿に載っていない債務のことをいいます。
本来載らなければいけない債務でも、貸借対照表に記載されていないことがあるのです。
- 賞与引当金
- 退職給与引当金
- 未払の残業代や社会保険料
- 買掛金
- 債務保証
- リース債務
- そのほか訴訟費用等
現状で支払う義務はないが、将来払わなくてはいけないものなどが簿外債務となる可能性があります。
事業承継後に問題となる前に、必ず見ておくべきでしょう。
簿外債務の影響
簿外債務があると、以下のような問題に発展する場合があります。
- 決まっていた売却が取り消しになる
- 信用を落とす
- 損害賠償問題に発展する
一度約束した内容が不正確で真実出ない場合、悪質だと判断されると損害賠償問題へとなるリスクもあります。
買い手はもちろんですが、売り手も気を付けなければなりません。
事業承継をしないためには?
事業承継をしない方法についても見ていきましょう。
事業承継をせずに、会社をたたみたいという方もいるでしょう。
- 廃業の手続き
- 相続の放棄
廃業の手続き
廃業の手続きをおこなう方法を見ていきます。
もしあなたが自分の代で会社を閉じるのであれば、必ずおこなわなければいけません。
- 株主総会での解散決議
- 清算人の選任
- 財産調査
- 財産の分配・処分
- 債権者保護手続き
- 決算報告承認総会
詳しい手順は別記事でご紹介いたしますが、専門家に相談しつつ、進めましょう。
相続の放棄
相続放棄についても見ていきましょう。
なぜなら、先代がお亡くなりになり、会社を引き継ぎたくない場合におこなうべき手続きだからです。
相続放棄は必ず相続を知った日から3ヶ月以内におこなわなければなりません。
また、被相続人の財産(現金など)を使ってしまった場合は認められないこともありますので、気を付けてください。
まとめ
当記事の内容をまとめます。
- 債務超過でも事業承継はできる
- 赤字と債務超過では、事業承継への影響も異なる
- 債務超過の場合は、事前にやるべきことがいくつかある
赤字の法人でも、全く事業承継ができないわけではありません。
どなたに引き継ぐかにもよりますが、現代の方で、できることはおこなっておくべきといえるでしょう。
必ず専門家に相談しつつ、進めるようにしてください。