理容室・美容室・床屋のM&A|そのメリットや成功するポイントを解説
✔当記事はこのような方に向けて書かれています
「美容院や理容点のM&Aが増えているのは何でだろうか」
「デュー・デリジェンスにおける注意点は何?」
「企業価値を上げる方法について知りたい」
✔当記事を通じてお伝えすること
- 美容院・理容室の概要
- 美容院・理容室を売却するメリット・デメリット
- 買収・売却で成功するコツ
当記事では、美容院や理容室、床屋を売却するメリットやデメリットはもちろん、買い手側目線でのメリット・デメリットまで解説しています。
ぜひ最後までご覧ください。
美容院・理容室の基礎知識
はじめに、美容院・理容室の基礎知識について解説します。
両者の違いやビジネスモデルも含めて整理しておくと、業界の全体像が理解できるからです。
- 美容院とは
- 理容店とは
- 美容サービスの市場規模
- 美容院の経営モデル
美容院とは
美容院は、美容師法のもとに経営されており、開業するには美容師免許が必要です。
顧客の容姿を美しくすることを目的としており、施術内容は多岐にわたります。
提供する主なメニューは以下の通りです。
- カット・カラーリング・パーマなどのヘアスタイルを整えるメニュー
- メイク
- ヘッドスパなどのリラクゼーション
- ネイルアート
- まつ毛エクステンション
ヘアスタイルを整えるメニュー以外にも、バリエーションを幅広くそろえており、顧客にあったスタイルを総合的に提案することが可能です。
理容店とは
理容店は、理容師法をもとに経営されており、開業するには理容師免許が必要です。
顧客に理容サービスを提供することを目的にしており、主に以下のメニューを提供しています。
- 散髪
- 刈込み
- 顔そり
美容室に比べると、提供するメニューはシンプルなことが分かります。
このような特徴から、最近ではサービスの内容を散髪などの最低限のものに絞り、低価格で提供する理容店が増えています。
美容サービスの市場規模
矢野経済研究所が2022年に実施した美理容サロン市場に関する調査によると、2021年度の市場規模は事業者売上高ベースで2兆470億円でした。
2020年度の1兆9,700億円に比べ、103.9%増加しています。
新型コロナウイルスの影響が大きかった2020年度に比べて、来客数は増えつつあるものの、コロナ禍以前の水準には戻っていません。
上記に加えて、前述した低価格店舗との競合もあるため、美容室・理容店の経営環境は厳しいといえます。
【出典】株式会社矢野経済研究所|理美容サロン市場に関する調査を実施(2022年)
美容院の経営モデル
美容院の経営モデルは、労働集約型だといえます。
顧客にさまざまなサービスを提供するために、美容師が大切な経営資源になるからです。
美容院で働く美容師を雇う場合もあれば、経営者自らがサービスを提供する場合もあります。
いずれの場合でも、顧客が満足するサービスを提供できる美容師が必須であるため、人材の確保がポイントだといえます。
美容業界(床屋)のM&Aの買い手企業候補
美容業界のM&Aでの買い手企業候補は以下のとおりです。
- 田谷
- ヤマノホールディングス
- アルテサロンホールディングス
- キュービーネットホールディングス
- アッシュ
- エム・エイチ・グループ
- ハクブン
- カットツイン
- レイフィールド
- アポロホールディングス
- マイク・イワサキ
- エム・ワイ・ケー
- A’Group
- Dash
- トービケン
- ヘッドライト
- リビアス
- ディアローグ
さまざまな企業が実際にM&Aに乗り出していることがわかります。
美容院や理容室を売却(M&A)する売り主のメリット
次に、美容院や理容室を売却する売主のメリットについて解説します。
メリットが分かれば、M&Aを実行するか判断できるからです。
- 多額の資金が手に入る
- 従業員の雇用が維持できる
- 事業が拡大する可能性がある
多額の資金が手に入る
M&Aで自ら経営している店舗を売却できれば、多額の資金が手に入ります。
売却価格からM&Aにかかる費用を差し引いた金額が経営者の利益になるからです。
売却して得た資金を元手に、新規事業を立ち上げたり、退職後の生活費に充てたりすることができます。
なお、売却益には税金がかかるため、あらかじめ納税額を把握しておくと安心です。
従業員の雇用が維持できる
従業員の雇用が維持できる点もメリットの1つです。
M&Aを活用した事業売却では、従業員との雇用関係も売却先に引き継がれるからです。
経営資源である人材の流出を防げますし、従業員の生活も守れます。
さらに、顧客にとっても、今まで担当していたスタッフに引き続き施術してもらえるという安心感があります。
事業が拡大する可能性がある
大手企業に売却できれば、事業が拡大する可能性があります。
大手グループの傘下に入れるため、豊富な経営資源を活用した事業拡大や、買収側が提供するサービスの提供、仕入原価の低減などが期待できるからです。
買収先との意向が合えば、より高い金額での売却につながるメリットもあります。
美容院や理容室のデュー・デリジェンスで気を付けるべきこと
次に、美容院や理容室のデュー・デリジェンスで気を付けるべきことを解説します。
注意するべき点を確認できると、実際にM&Aを実施する際に活用できるからです。
- 従業員の育成体制や定着率などの人材リスク
- 簿外債務などの財務リスク
- 残業代未払いなどの経営的リスク
従業員の育成体制や定着率などの人材リスク
1つ目は、人材リスクです。
美容室や理容室は、現場でサービスを提供する従業員の確保が最も重要だからです。
例えば、従業員の研修制度や福利厚生など、働きやすい環境が整っているかどうか、慎重に確認する必要があります。
調査する際には、実際に店舗の様子を見に行ったり、従業員にヒアリングすると効果的です。
簿外債務などの財務リスク
2つ目は財務リスクです。
美容院や理容室は経営形態にかかわらず企業規模が小さく、事業と経営者自身の家計の区別がはっきりしていないことが多いからです。
決算書などの資料も実態と乖離している場合があるため、丁寧な調査が求められます。
特に、簿外債務など決算書に載っていない情報を漏れなく確認する必要があります。
残業代未払いなどの経営的リスク
3つ目は経営的リスクです。
美容業界は顧客に施術するための準備に相応の時間がかかるため、残業代の未払いが発生しやすいからです。
未払い残業代がある場合は、条件を交渉する前に従業員に残業代を支払う、再発防止するための対策を考えるなど、相応の対応が求められます。
労働集約型のビジネスだからこそ、人件費についてはしっかり調査しましょう。
床屋の買収で成功するためのポイント3選
次に、床屋の買収で成功するためのポイント3選を解説します。
買収する際のポイントをおさえておけば、より効果的な買収につながる可能性があるからです。
- 固定客がいるか
- 立地条件が良いか
- 集客の仕組みがあるか
固定客がいるか
1つ目のポイントは、固定客がいるかどうかです。
床屋の利用する顧客のほとんどは固定客のため、継続的に通っている顧客をそのまま引き継げれば、売上の安定につながります。
固定客がいれば、集客にかかるコストを減らせるメリットもあります。
提供されたデータを分析するだけでなく、現地を見に行って実態を確認する姿勢が大切です。
立地条件が良いか
2つ目のポイントは、店舗の立地条件です。
立地条件が良ければ、新規顧客が誘致しやすいからです。
例えば、以下の条件があげられます。
- 人口が増加している地域にある
- 最寄り駅から近い
- 近隣に商業施設がある
経営戦略やビジネスモデルとは異なり、店舗の立地は簡単に変えられるものではないため、買収する前に念入りに調査する必要があるといえます。
集客の仕組みがあるか
3つ目のポイントは、集客の仕組みです。
買収したい店舗に集客の仕組みがあれば、M&A後も既存の仕組みをそのまま利用できるからです。
例えば、主に以下の項目があげられます。
- ホームページがある
- ポータルサイトに登録されている
- Web広告を活用している
床屋の売却で成功するポイント3選
次に、床屋の売却で成功するポイント3選を解説します。
売却する際のポイントを把握しておけば、実際に交渉する際にメリットがあるからです。
- 業績が良いタイミングで検討する
- 大手で資金力があるとことを探す
- 事業内容に理解があり、相性が良いところを選ぶ
業績が良いタイミングで検討する
1つ目のポイントは、業績が良いタイミングで検討することです。
業績が良ければ、売却価格も上がり、利益を最大化できる可能性があるからです。
買収側から見ても、赤字が続いている店舗よりも、好業績の店舗のほうが買収する価値があると判断されます。
将来売却する可能性が少しでもあるならば、業績が良いときに準備を始めるのも一つの選択肢です。
大手で資金力のあるところを探す
2つ目のポイントは大手で資金力のあるところを探すことです
資金力のある企業が買収先に決まれば、売却側にとってもさまざまなメリットがあるからです。
具体的には、以下の項目があげられます。
- 買収先の資金調達に心配がなく、M&Aがスムーズに進む
- M&A実施後に買収先の経営資源を活用できる
事業内容に理解があり、相性が良いところを選ぶ
3つ目のポイントは、事業内容に理解があるところを選ぶことです。
売却側と買収側の相性が良ければ、両者の強みが相乗効果を発揮し、より良いサービスを提供できるからです。
ビジネスの親和性が高ければ、買収側にとって価値の高いM&Aとなるため、売却価格が上がる可能性もあります。
買収先を探す際は、条件面だけでなく、事業内容がうまくマッチングするかどうかも判断材料の1つにしましょう。
まとめ:床屋のM&Aはポイントを抑えて進めればメリットが多い
当記事の内容をまとめます。
- 美理容サロン市場は昨年対比で売り上げが増加している
- 美容院・理容室を売却すべき理由はたくさんある
- 買収・売却で成功するコツを把握して、より意向に合うM&Aを成功させよう
昨今は美理容サロン系のM&Aが注目されてきています。
通ってきてくれている顧客や勤めている従業員などに迷惑をかけないためにも、M&Aが活用できるからです。
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