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会社定款変更の手続きや変更後の定款の作り方をわかりやすく解説

✔当記事はこのような方に向けて書かれています

「定款や定款変更について知りたい」

「定款変更の手続き方法ってどうやるの?」

「定款変更後の定款の作り方がわからない」

✔当記事を通じてお伝えすること

  • 定款・定款変更について
  • 定款変更の手続き
  • 定款変更後の定款の作り方

当記事では、定款変更の基本から、手続き方法や作り方まで丁寧に解説しています。

ぜひ最後までご覧ください。

会社の定款についての基礎知識

定款についての基本をお伝えします。

まずは定款の定義をきちんと整理しておきましょう。

  • 定款とは何か?
  • 定款の記載事項

定款とは何か?

定款とは、会社の組織や活動に関するルールをまとめた、非常に重要な書類です。

作成が会社法で義務付けられている書類になります

株式会社の場合は、紙定款、電子定款の2種類があります。

どちらの場合も公証役場にて認証を受けなければなりません。主に、許認可申請や補助金申請、法人口座開設の際などに使用される大切な書類です。

定款の記載事項

定款における記載事項のルールをご説明します。

必ず書かなければ無効になってしまうものもあるのです。

  • 絶対的記載事項
  • 相対的記載事項
  • 任意的記載事項

絶対的記載事項

絶対的記載事項は、記載しなければ定款自体が無効になる、その名のとおり必ず記載しなければならない事項です。

該当するものは、主に以下のとおり。

  • 事業目的
  • 商号(会社名)
  • 本店所在地
  • 発起人の氏名または名称および住所
  • 発行可能株式総数
  • 資本金額 など

定款で定められた目的の範囲内でのみ事業をおこなうことができます。

あとから目的を追加すると定款変更が必要になるので、事業目的の項目には、将来的に行う予定の事業についても記載しておいたほうがよいでしょう。

相対的記載事項

相対的記載事項は、定めた場合のみ記載しなければならない事項です。

必ずしも記載は不要ですが、記載しなければその事項は有効となりません。

主に、以下の事項が挙げられます。

  • 現物出資
  • 株式発行
  • 株式譲渡制限
  • 役員の任期の伸長 など

とくに重要なのが、株式譲渡制限に関する定めです。

なぜなら、株式が自由に譲渡できてしまうと、第三者に会社を支配されてしまうという懸念が生まれるからです。

とくに定める必要があるものだけ記載するのが、相対的記載事項です。

任意的記載事項

任意的記載事項は、記載が求められていない事項のことをいいます。

定めていたとしても、定款に書くことを義務付けられていないものです。

たとえば、以下の項目が挙げられます。

  • 事業年度
  • 取締役等の役員数
  • 株主総会の開催規定
  • 役員報酬
  • 配当金

基本的に、会社法や公序良俗に反しなければ、自由に定められるとされています。

定款変更についての基礎知識

定款変更の方法についてご説明していきます。

新規で作成するときと、異なる手順があるからです。

  • 定款変更とは
  • 変更登記申請が必要なとき
  • 変更登記申請が不要なとき

定款変更とは

定款変更とは、定款の記載事項を変更することです。

変更の際は、元の定款と差し替えるのではなく、変更の都度、付け加えていきます。

会社設立時に公証役場の認証を受けた定款(原始定款)は、直接変更を加えることはできないのです。

附則を変更する場合も、会社法に則り、附則の追加や削除、一部の削除が可能となります。

変更登記申請が必要なとき

定款変更の登記申請が必要となるのは、以下のようなケースです。

  • 事業目的の変更
  • 商号(会社名)の変更
  • 本店所在地の移転
  • 発起人の氏名または名称および住所
  • 発行可能株式総数の変更
  • 公告方法の変更
  • 役員の変更
  • 株式譲渡制限の定めの変更
  • 資本金額の変更  など

記載事項の変更から、2週間以内に変更登記をおこなわなければ、代表者に100万円以下の過料が課されることがあります。

細かく見れば、ほかにも変更登記申請が必要となるケースはありますので、変更の際は必ず調べましょう。

変更登記申請が不要なとき

登記すべき事項にあたらない場合は、変更登記の申請は不要です。

たとえば、事業年度の変更や取締役の人数の変更などが該当します。

しかし税に関する事項については、株主総会もしくは取締役会の議事録を添付のうえ、税務署への届け出は必要です。

定款変更の登記とは、別物ですが頭に入れておきましょう。

定款変更の手続きについて

定款変更の際に必要な手続きについて解説します。

手続きにも守らなければならない順序があるのです。

  • 株主総会の特別決議
  • 株主総会の議事録を作成
  • 公証役場の認証手続きは不要

株主総会の特別決議

定款変更は、株主総会もしくは取締役会の特別決議で承認を受けなければなりません。

条件としては、以下のとおり。

  • 議決権を行使できる株主の過半数が総会に出席
  • 出席した株主の議決権の3分の2の賛成を得る

株主総会の議事録を作成

特別決議での承認を得たら、定款変更についての決定事項を議事録に記載します。

管轄の法務局に変更登記の申請をおこなう際、議事録を申請書に添付しなければならないからです。

登記が完了し、定款変更が終わったあとは、原始定款・現行定款(新しい定款)と一緒に保管するようにしましょう。

なお、変更登記申請が不要なケースは、作成後に会社で保管します。

公証役場の認証手続きは不要

定款変更の場合は、公証役場での認証は不要。

なぜなら、定款変更の際には株主総会や取締役会の特別決議が、公証役場での認証に代わる効果を持つからです。

会社の設立時と間違えないようにしてください。

定款変更後の定款の作り方

定款変更が完了しても、自動的に新たな定款ができるわけではありません。

定款変更後の定款(現行定款)がほしい場合は、大きく分けて、自作するか専門家に作成を依頼するかの2択になるでしょう。

こちらでは、自作する際の方法やポイントをご紹介します。

  • 元の定款をベースに作る
  • 元の定款が見つからないときは
  • 提出用の定款には証明文を付ける

元の定款をベースに作る

元の定款をベースにして、変更点を更新した内容で作ります。

たとえばWordなどの文書作成ソフトで作成したファイルがパソコン上に残っている場合は、変更箇所を反映させれば簡単に作れます

できあがった定款は、公証役場の認証を受ける必要がないため、パソコンから出力すれば完成。

収入印紙を貼る必要もありません。

元の定款が見つからないときは

元の定款が見つからない場合は、会社設立時に認証を受けた公証役場に原始定款の交付請求をしましょう。

認証後20年を超えていると、公証役場によっては破棄されている可能性もありますが、まだ保管されていれば原始定款の謄本を交付してもらえます。

公証役場で取得できない場合は、再度作成するしかありません。

流れとしては以下のとおりです。

  • 法務局で登記簿謄本を取得
  • 定款の記載事項を確認
  • 過去の議事録の変更内容を確認

それでも不明点があり、復元が不可能という場合は、株主総会や取締役会での特別決議にて承認を得ることで一からの再作成が可能です。

提出用の定款には証明文を追記する

変更後の定款を提出しなければならないときは、証明文を追記します。

なぜなら、提出した定款が原本と相違ないことを証明する必要があるからです。

提出しなければならないケースは、許認可の申請や融資など。

行政や金融機関から求められたら、定款の末尾に証明文を追記・押印し、原本の証明としてください。

証明文は、以下のように書くのが一般的です。

証明文を追記したら定款を出力し、左側をホチキスで留めます。

代表者の氏名の横には、会社の実印を押印。

定款が複数のページにわたる場合は、各ページのつづり目に実印にて契印をします。

定款変更の費用について

定款変更の費用について見ていきます。

定款変更の費用は大きく分けて2つです。

  • 手続者への報酬
  • 登録免許税

手続きの内容などにより異なるので、細かくご説明します。

手続者への報酬

変更登記が必要なケースでは、ほとんどの場合登記の専門家である司法書士に依頼することになるでしょう。

この場合、変更の内容や依頼する司法書士によっても異なりますが、商号や事業目的の変更だけであれば2〜4万円程度でできる場合が多いです。

また、本店所在地移転でほかの法務局の管轄への移転となる場合は、4〜7万円程度が相場です。

登録免許税

法務局に登記を申請する際は、申請内容に応じて登録免許税を納めなければなりません。商業登記の主な変更に関する登録免許税は、以下のとおりです。

登記の内容登録免許税備考
登記事項の変更申請1件につき3万円・事業目的の変更
・商号(会社名)の変更
・本店所在地の移転
・発起人の氏名または名称および住所
・発行可能株式総数の変更
・公告方法の変更
・役員の変更
・株式譲渡制限の定めの変更
・資本金額の変更 など
資本金の増加(増資)増加する資本金額の7/1000(3万円未満の場合は3万円)株式会社、合同会社の場合
役員変更申請1件につき3万円(資本金額1億円以下の場合1万円)
本店移転
支店移転
1か所につき3万円申請先である法務局の管轄外に本店移転する場合は、3万円×2=6万円
支店設置1か所につき6万円
取締役会・監査役会に関する事項の変更申請1件につき3万円

同時に複数の変更を行う場合、区分が異なる作業に関しては登録免許税が加算されます。

たとえば、商号変更と本店移転を同時に行う場合、これらは区分が異なるため、商号変更の3万円+本店移転3万円で合計6万円かかります。

ただし区分が同じでまとめられれば1件分の3万円で済ませられます。

電子定款変更のやり方

定款変更について解説してきましたが、電子定款の場合も基本的には同じです。

電子定款の場合、電子署名したPDFファイルが原始定款となりますが、紙定款同様、原始定款は変更せず、変更箇所についての内容を別途添付します。

議事録も電子文書で保存します。電子署名は必要ありません。

まとめ:定款変更後の定款は、自分でも作れる

当記事の内容をまとめます。

  • 定款変更は、定款の記載事項を変更すること
  • 定款変更の手続きでは、公証役場の認証は不要
  • 定款変更後の定款の作り方は、ケースごとに異なる

定款の記載事項が変更になった場合は、速やかに変更の手続きが必要です。手順を確認し、正しく進めるようにしましょう。